目の前で困っている人がいるのに私はそれを見過ごせないから [日記]

媚薬 販売枢機卿として登りつめた自分に対して厳しくて、真面目な秀才タイプ。何よりも神を信じ、神を信じている自分を信じる彼が、神の子である世界王を害することに手を貸すなんて信じられない。これは早々に事を終わらせてしまいたい教会の陰謀に違いないと気が付いた私は、このまま一人罪を背負わされるアインを見捨てる事なんて絶対にできなかった。アインに質問をしていた司教の言葉を、ぴしゃりと撥ね付ける。
 
ホール全体に動揺が広がる中で、自分でも自分の言っている事が正しいかなんて分からない。だけど、私が戸惑っている姿を見せちゃいけない。見せたら負けだ。優しくも厳しい言葉をくれた人は、オルロック・ファシズで離れた母を思わせる人。その言葉をいつだって覚えているつもりなのに、気が付けば私は自分の心のままに言葉を発してしまう。だけど、巫女として発してしまった言葉を取り消す方法を誰も教えてくれない。巫女としてじゃない言葉の発し方を誰も教えてくれない。
 
本当は後悔や迷いや怖さがあるなら、言葉を発するべきじゃないのかもしれないけど、目の前で困っている人がいるのに私はそれを見過ごせないから。私は自分を信じて言葉を、思いを止めない。止めたくない。そんな気持ちを強く持ってまっすぐに見下ろしたアインの瞳が揺らぐ。お父さんよりもずっと年上の男の人なはずなのに、頼りない子供のような表情が全てを物語っているように思えた。新一粒神
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